おけいさんのテレビ

原作 ノーカットver.




テレビ:ねぇ私たちもう知り合って何年になるかな?

おけい:ん〜忘れたな。でも結構長い方だと思うよ

テレビ:だよね、最近ちょっと調子悪いけど私がんばるから

おけい:うぃうぃ

━数週間後━

テレビ:ザー

おけい:あれ?おいテレビ、どうしたんだよ!

テレビ:ザーザッ・・nね・うだめ・・・

おけい:おい!どうした!

ドンッ
おけいはテレビを叩いた

おけい:起きろ!今すぐ修理に持っててやるから!

テレビ:ん、だ・・いじょうぶ・ごめん

おけい:いやあの時俺がお前の異変に気づいてやれれば・・・・

テレビ:うぅん、もう・・いいの。自分の事解ってるから・・

おけい:何言ってんだよ!こんなに綺麗なんだ、修理に持っていけばきっと・・!

テレビ:ありがとう、でもね遅かれ早かれ私は居なくなる運命なのよ



おけい:?

テレビ:私、地デジ対応してないから2011年にh

おけい:捨てない!

テレビ:!

おけい:電気屋で見て一目ぼれだったんだ。
おけい:ゲームにだって使えるし捨てるかよ!

テレビ:うれしい・・

テレビは電源LEDを点滅させた

おけい:な、これからも一緒にいてくれるだろ?

テレビ:そう・・だね

プルルルルルプルルルル

おけい:悪い、ちょっと電話

テレビ:うん

おけい:(あ、わかりましたすぐ行きます)
おけい:テレビ、ごめんすぐ戻ってくるから。そしたら修理にだすからさ

テレビ:うん、ありがとう。待ってるから早く行って

おけい:お、おう。じゃぁいってくるわ

テレビ:いってらっしゃい

バタン

テレビ:・・・・ありがとう

━6時間後━
バタッ

おけい:テレビ!遅くなってごめん!
おけい:修理に電話かけといたからもう来るぞ

テレビ:・・・・

おけい:おいテレビ!

ドンドン
おけいはテレビを何度も叩いた



おけい:そんな・・・・、テレビ!おい冗談やめてくれよ
おけい:お前が居ない日常なんて考えられない・・・・
おけい:頼む、、頼むから反応してくれよ!!
おけい:いつ、、いつもみたいにNHK教育映してくれよぉぉ!

テレビ:・・・・
コンコン
修理人:ちわー、テレビの修理に参りましたー

ドドドドドド(走る音)
ガチャ

おけい:遅すぎるだろ!すぐ入って!大変なんです!!

修理人:は、はい。遅くなってサーセンwwww

修理人:じゃぁ一度分解しますね

おけい:はい・・・・

ガチャガチャ

修理人:あー、お客さんこれもう買い換えたほうがいいっすね

おけい:え?

修理人:いや、ヒューズとか飛んでるし重要なパーツ結構ダメージくらってて
修理人:この年代のこのパーツは製造されてなくて修復不可能ですわ。
おけい:そん・・な・・・・

おけいはその場にひざから崩れ落ちた

修理人:お客さん?

おけい:・・てください・・

修理人:へ?

おけい:な・・てくださいよ、、治して下さい!!!
おけい:あんた修理人だろ!
おけい:あんたが遅かったせいでこいつは動かなくなったんだ!
おけい:あんた治してくださいよ!ねぇ、ねぇ、治せよ!!!!

修理人:ちょ、、ちょっとお客さんさっき言ったとおり

おけい:うるさい!こいつとはずっと一緒だったんだ!
おけい:さっきまで、、数時間前まで映ってたんだぞ!
おけい:今さら映らないなんて
おけい:ふざけるな!!!!!!

修理人:・・・・
修理人:・・・・お客さん、現実を見てください。
修理人:この子は良く働いたと思いますよ。こんなにぼろぼろになるまで・・
修理人:もう楽にさせてあげましょうよ

おけい:う、、うぅ、、まだ別れの言葉も言ってないのに、、
修理人:でも少しの間不安定でも映す事は可能です。
修理人:延命にもなりませんが、別れの言葉くらいは、、

おけい:本当ですか!?
修理人:はい、でも動力源とメモリー部は密接に関わっているので
修理人:もしかすると設定が飛んでしまうかもしれません。

おけい:・・・・

修理人:どうしますか?お客さん

おけい:あいつが、、あいつが戻ってくるなら、、
おけい:よろしくおねがいします

修理人:解りました。

━数分後━

修理人:パーツ交換が終わって電源入る事を確認しました。

おけい:本当ですか!?ありがとう!本当にありがとう!

修理人:いえいえ、それでは私はこれにて

おけい:はい、本当にありがとう!

修理人:お客さん、最後に一つ。

おけい:?

修理人:これは延命にも及びません。いつか別れがきますよ。

おけい:そんな事・・わかってますよ・・・・

修理人:そうですか、それでは本当に失礼します

おけい:はい・・・・

ガチャ

バタン

おけい:・・・・
ポチッ

おけい:テレビ、、大丈夫か?起きれるか?

テレビ:・・・・

おけい:テレビ?

テレビ:誰?

おけい:ん?

テレビ:あなた・・誰?

おけい:そんな・・・

おけい:テレビ、俺の事覚えてないのか?

テレビ:誰?

おけい:う、、うわぁぁあ、記憶が、、記憶が無ければ
おけい:何の意味も無いじゃないか!
おけい:テレビ!帰ってきてくれよテレビ!

テレビ:あ、あの・・・・

おけい:うわぁぁぁぁあ

その後数時間、おけいは泣き続けた

テレビ:ジジッジッジー

おけい:おい、どうした?

テレビ:ザー

おけい:また、お前も俺の前から消えようとしているのか、、
おけい:もういい、沢山だ。俺はもうテレビなんか見ない・・・・

テレビ:・・・て・・う・

おけい:?
おけい:まだ何か映そうとしているのか?

ドンッ
おけい:懐かしいな、あいつの事も良く叩いてたっけ・・・・

テレビ:・・がとう・・



おけい:え・・・?

テレビ:あr・・・りがが・・とう・・

おけい:テレビ!テレビなのか!?

テレビ:今ま・・でたい・・せつにし・・てくれ・て
テレビ:ありが・・とう

おけい:喋るな!解った、解ったからもう無理はするな!
おけい:もうお別れみたいなこと言うなよ!!

ドンッ

テレビ:ザザッ、、、おけい

おけい:テレビ!

テレビ:今まで本当に私を大切に使ってくれてありがとう

おけい:これからもずっと一緒に居てやるからそんな事いうな

テレビ:うぅん、それはもう無理なの。
テレビ:ごめんね、おけい。少しの間時間貰ったんだけど
テレビ:もう私行かなくちゃ

おけい:行くってどこにだよ!ずっとおまえはここに居るんだよ!

テレビ:ごめん。
テレビ:いつもみたいに叩いてくれれば映るかもしれないけど
テレビ:それはもう私じゃないんだ・・

おけい:そんな・・・
テレビ:おけい、最後に私のお願い聞いてくれるかな・・?
おけい:・・・・解った。
テレビ:私を捨ててもらえるかな
おけい:そんなの絶対に嫌だ!!!!
テレビ:お願い。

おけい:嫌だ!絶対に無理!

テレビ:いいの。私がここに居たらあなたの心はずっと縛られる
テレビ:私ではない私に心を縛られてしまったら
テレビ:私少しヤキモチやいちゃうかな

テレビは明度を上げた
おけい:ばかやろう!お前との思い出が詰まってるんだ!捨てられるか!

テレビ:思い出は私の心、そしておけい、あなたの心にも沢山詰まってる

テレビ:私はこの思いと共に安心してあっちへ行くわ

おけい:でも、、捨てるなんて、、、

テレビ:大丈夫、あなたはこれから来る地デジも見られるし
テレビ:ここで止まったりしないよ。私は知ってるから。
おけい:テレビ、、ありがとう、、本当に俺はお前が
テレビ:それ以上はいわないで。行きづらくなるから。。



おけい:・・・・

テレビ:そろそろ時間だから行かなくちゃ
おけい:本当に今までありがとう。一生、絶対に忘れない
テレビ:フフ、私も忘れない。次生まれ変わったら人間になりたいな。
テレビ:そしたらおけいに真っ先に会いに来るね!

おけい:じゃぁ俺はそれまで待ってなきゃだめだな。
おけい:お前のために新しいテレビ買って待ってるよ!

テレビ:あはは

おけい:ははっ

テレビ:じゃ、お別れだね

おけい:テレビッ!

テレビ:・・・・

おけい:ありがとう。
おけい:お別れじゃない、また会おうだ!

テレビ:うん!

おけいはテレビのディスプレイにそっと口を寄せた

テレビ:おけい、またね。大好きだよ。

おけいの耳元でささやいたその声を最後に
テレビから反応が無くなった。

おけい:ずるいな、、自分だけ言って、、

それから数十年。
おけいはテレビの事を忘れるかのように働き続け
電機メーカーの人事になっていた。

おけい:ふぅ、なかなか今年はいい人材がそろわないな

部下A:そうっすねwww

おけい:あの時修理屋だったお前が入ってくるとはな。

部下A:サーセンwwwww俺もおけいさんが居るとはおもわなかったすww

おけい:おまえさ

部下A:へ?

おけい:ほんとうざいな

部下A:おけいさんそれひどいっすwwwwww

おけい:ははは

部下A:あはははサーセンwwwww

おけい:じゃぁ次の人呼ぶか

部下A:そっすねwwwww

おけい:次の人どうぞー

コンコン

女:失礼します

おけい:はい、じゃぁそこにかけてね。(綺麗な子だな)

面接内容途中省略

おけい:じゃぁ弊社を志望した理由は?

女:はい、運命の人に会うためです。

おけい:運命?

女:はい、昔大切にしてもらってた人に会うためです。

おけい:んんー?良くわからないな。

女:もう、、忘れてしまったの、、?おけい

おけい:・・!?なんで俺の名前を・・?

女:それに修理屋さんまでこの会社にはいっていたんですね

女はクスッと笑った

部下A:サーセンwwwwwwwwwwww

おけい:こいつが修理屋ってこと・・・・まさか
おけい:て・・テレビか!?

女:コクン
女:久しぶりだね、おけい!

ガタッ
おけいは立ち上がって女に寄った

おけい:テレビー!

そういうとお互い抱き合った。

女:今度は叩かないで撫でてね
女は頬を赤くして言った。

おけい:わかってるよ!

お互いに目に涙をためながら笑っていた。
運命を変えた女と待ち続けた男
この二人には今後どんな試練が訪れようとも
それをきっと乗り越えられる力があるだろう。
アナログな世界で再び巡り合った二人は
これからどのような未来を映し出していくのだろうか。
愛という名の電波に乗せて・・・・!