シミュレーションラブ

友人の結婚式の時、フィンガーボールの水を飲んでいた人に「おねぇさん、かわいいことしてますね♪」と言ったら殴られた人のブログ。

【超貴重】MOに数年間眠っていたオリジナル小説がついに・・・

 ツンデレオーディション管理人が執筆した完全オリジナル小説ここで公開しちゃうよ!。めちゃくちゃPC周りを探して、MOの中を何枚も探していたらやっと出てきたので、公開しちゃう。これ、何かの企画モノだった気がするけど、なんだかんだいって、時間がねーよ!!と言って断ったんだっけな。

  • (プロットは)5年前に執筆しました。当時は全くライトノベルも読んでなかったから、おかしいことになってるけど。
  • 当時の文章をノーカット。真面目な話、話と話の間のつなぎがだるいなーと読み返してみて改めて思ったね。
  • なので、ちょっと最近のパロディネタも追加執筆した。
  • やっぱり自分は、5年以上前からツンデレが好きだったらしい。
  • ちなみに、身内の名前(漢字違い)が入っていますが、勝手にモデルにした。ごめんA君。
  • コンセプトが「こんな刻を 過ごしてみたかった――――」とメモられている。
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 わかると思うが、美緒…ヒロイン、安藤広幸…主人公(実在の人物をモデルにした)。ショートストーリーにしてみたら、実は結構まとまってる?w

第1章

 とてつもなく素晴らしい朝が訪れた。
――のは、間違えで。

「ねっねっ!今日からでしょ?初日に遅刻してどうすんの!」
「―う~んむ、ふむにゅふみゅ……」
「ちょっ、ちょっと!あたしまで遅刻しちゃうじゃない!電車に間に合うの?」
 開け放された窓から心地よい風が流れてきたと思ったら、女性らしい声の人物が俺の布団の上に馬乗りになり、ギャンギャンわめき出した。
「もう!普段は遅刻しても何も言わないけど、今日という今日は絶対起きるまで起こし続けるんだからっ!」
「……さむいよ…姉ちゃん、今日は学校…むにゃむにゃ…行かないから……起こさないで……アハハ……そんなとこ触らないでよ。姉ちゃん…くすぐっったい……あんっ…アハハアハハハハハ……」
「何寝ぼけてるのよっ!ばかっ!!」
布団の上に確かに乗っている女の子らしい軽さに気がつきながら、徐々に眠気を覚まし、目を開けようとした。

――頬に冷ややかな手が当てられた。
――その瞬間、頬にビリっと火花が飛び散るような感覚が肌へ覚醒する。
 脳内へ痛みとして届く前に、俺は瞬時に目が覚めた。
「きゃっっ」
と、愛らしい声を発した人物は、俺が起きた瞬間に、馬乗り体勢から、俺のベッドから転げ落ちた。
俺はとりあえず何も言わず、状況を把握しようとなんとか時計を見る。時刻は朝の8時をまわっていて、学校には間に合うはずだ。
そして、俺のベッドから転げ落ちたその子を見る。もちろん、姉さんではない。俺の姉さんは、もう既に会社へ行っている時間のはずだ。窓が開いている所から推察すると、隣の家の窓から俺の部屋の窓に侵入してきたらしい。
しばらく見ていると、その背丈が異常に小さいその女の子は微かに上目遣いで、俺を無言で見つめ始めた。明らかに問い詰めているぞっ!的な表情とは裏腹にうっすらと目元に涙が溜まっているのが見えた。

「……」
「……」
「…むぅ……」
「……」
「…………うぅ…」
「…………………………」

その女の子は、俺の同じ学校の制服を着ていた。膝下靴下から、短いスカート、胸元リボンに至るまで、その着こなしは誰が見ても完璧で、何かの美少女モデル雑誌に乗っていてもおかしくはない。
着ている本人の顔パーツは童顔で、食べてしまいたいような唇に、ほんの少し上気している赤い頬がなんともかわいらしい。何よりその澄んだ瞳は見つめる男達全てを魅了し、これでもかとばかりに吸い込まれそうになる。
とにかく、美人でかわいらしかった。
そして、何よりちっこかった。知らない人が彼女を見たら、中学生に間違えられてもしょうがないかもしれない。それ位に背が小さかった。

「…………」
「…………」
 そろそろ、俺も恥ずかしさで見つめられなくなり、限界を超える直前に、相手から先に、目をそらされた。どこか部屋の端を見て、ドキマギしながら俺に語る。
「…うぅっ、も、もうちょっと優しく起きたっていいじゃないっ」
「…もう少し優しく起こしてくれよ。いや、起こさなくていい。いつも、起こさないじゃないか。また、なんで、こんな…」
すると、その子はびっくりするような表情を浮かべ、
「まさか、あんた、忘れてる?」
と聞いてきた。
「…何。今日は運動会か?去年は疲れたよなー。借り物競争で、『恋人』なんて訳がわからないカードを引いてしまって、あのおしとやかなあおいちゃんがおろおろしていたのは見物だったよな。結局、見かねた俺が出て行ったけど、その後については男子のブーイングの嵐で困ったぜ!」
「……そ…そうなんだ…」
「ああ、そうか。美緒は次の番だったから、緊張でガチガチに震えて覚えてなかったんだろうな」
「べっ、別に、あんたと恋人でゴールしたかった訳じゃないんだからねっ!」
「そんなこと全く聞いてないし」
「じゃなくて!そうじゃなくて…」
「それときたら、美緒は『ゴミ』ってカードを引いたもんなー。一直線に既にあおいちゃんと『恋人』としてゴールした俺を目指して来たのには、クラスのみんなはひっくり返っていたぞ。いくらなんでも『ゴミ』はないだろー」
「しょっ、しょうがないでしょ。あの時は必死だったんだから。クラスのみんなに迷惑かかるよりはよかったじゃない」
俺の『ゴミ』に対する謝罪は、その時も今もないのね。
「それにあんたなんか、『ゴミ』みたいなものじゃないの!…じゃなくて、そうじゃなくて、話がずれてきたわ。それはどうでもいいから、今日からでしょ?、交換留学生制度。」
 俺はゴミみたいなものなのか。ふん、いいさいいさ。どうせ、クラスでも目立たない存在ですよ。はいはい。


「………………」

――――えっ?
『交換留学生制度』?!

「えっ、なんだっけそれ。おいしいの?」
「…何のネタよ。おいしくなんかないわよ。」
「あっ、まさか…」


 生徒から珍獣というニックネームを付けられている担任の先生が去年の終わりにこんなことを言っていた。
「我が校は、来年5月から、交換留学生制度を採用する事にした。この制度は他の学校では、海外との交流目的も兼ねているらしいが、我が校は国内でそれを行い、地方との勉強の進み具合を確認する為に行うらしい。男女1名合計2名ずつ選出し、2名と留学先の2名が交換する。まぁ、安心したまえ。修学旅行先はそちらに決定しているから、学年のみんなに現地で逢えるからな」
 ようするに。学校長の思い付きにより、俺のクラスから交換留学生を輩出させることになった。それからが混乱の荒らしだった。修学旅行先が京都ではなく、どこぞ知らない地方ということ、交換留学制度採用についてのブーイング、校長先生の思い付きに対する批判、男女1名ずつという人数制限、恋人と夜のお楽しみイベントは京都じゃなくても出来るのか(と小さい声で聞こえた)、などという様々な質問や騒ぎでクラス中が混乱に陥った。
 もっともクラスの一番の疑問点は、修学旅行は学年全員参加だからいいものの、交換留学生制度はうちのクラスから男女1名ずつを輩出させること、その点が一番の疑問点のようだ。
「それは、後々説明するとしよう。」
 また、クラス中騒ぎ出すかもしれないところで担任が、大声で威圧し、吼え、雄叫びを上げ、珍獣のように喚きちらしたところで、静かになった。

「さて、参加する人はいるかな?」
――なぜかここで、珍獣は席の後ろの方、つまり、俺を見た。

クラス中は、珍獣が喚いたので静まり返っている。なんだかんだいって、めんどくさいという現代人の性格がクラス中に流れているらしい。珍獣に見られたので、なんとなく発言しなくてはいけないと思い、
「女の方は美緒でいいんじゃないですか?彼女は、見た目だけは完璧な少女であり、留学先からの見栄えも良いと思われます。」
と、発言してみた。
すると珍獣先生は、にっこり笑い、獲物を俺から美緒に変えた。その前に、ガタッと音がして、美緒が勢いよく立ち上がるところが見えた。
「あっ、あたしはやめておきます。外見が良いだけで、他は全く駄目ですから……」
 いつも通り、強気のような発言をするが、顔を赤くし、何処を見ているのかわからない焦点で、後半はあまり聞こえなかった。彼女なりに何かに緊張しているらしい。
そこでクラスの男性諸君は、なぜか盛り上がる。全てにおいて君は素晴らしい!だとか、性格もいいぞっ俺にハンカチ貸してくれた事もあったぞ、などというとんでもないことまで言う奴までいた。ていうか、外見は良いって自分で言うなよ。

「まあ、そうだな。じゃあ、男の方を先に決めよう。広幸はどうかね」
ほらきた。真っ先に俺に来た。
「やめておきます」
「そうか。残念だな。お前には特別に某アイドルチケットを贈呈しようとしたのにな」
なっ、なんだってーっ?!
あの珍獣がいうアイドルは多分アレしかない。そのチケットは一番安い全然ステージが見えないチケットでも、すぐに完売し、オークションなどでも10万はくだらなく、全く手に入らない。
「残念だな。折角、知人に頼んで入手したのに。俺がS席で見るかな…ハルカッ!ハルカッ!って応援しながらな!!」
一瞬、珍獣が『ハルカハルカ!』と応援している所を想像してしまい、吐きそうになった。
「先生」
「何かな」
「交換留学生の件、安藤広幸、全力でやらせていただきます」

 ということで、俺はまんまと買収されたわけだ。クラスメイトの唖然さは、想像しなくてもわかるだろう。しかし、俺でも予想外なことが一つあった。

「……しょ、しょうがないわね。あたしも参加してあげるわよっ!」


改めてご紹介しよう。
俺の名前は広幸という。そして、美緒は隣の家に住んでいる。2階の窓と窓を飛び越えて俺の部屋に来れる関係であり、幼馴染…ではない。はっきり言って、普通に友達の関係だ。むしろ、友達から遠のいており、金魚のフンのような関係になっているが、この際、何も聞かない事にして欲しい。断じて恋人でもないし、恋人になる予定もない。だから、美緒が俺を起こしに来る理由なんて一つも無いはずなのだ。だから、全く状況がよくわからない。

俺がこの都会地方に住み始めたのは、数年前の事だ。実は母が、俺が小学校の頃交通事故で亡くなった。それなりのアパレル会社社長をしていた母は、かなりの年商を誇っていた。しかし、母が亡くなった事により、今まで住んでいたマンションの維持が父の収入だけでは維持出来なくなってしまった。
そこで引越ししたと言うわけだ。隣の美緒と仲良くなり、金魚のフンみたいにひっつき、わがままに付き合わされながら暮らしていたが、母が大好きだった父は、引越ししてから数日後、夕飯の買い物に行ってくると言ったきり家に帰ってこなくなった。近所を探し、前に住んでいたマンション近くも捜し、警察に捜索願を提出しても見つからない。こうして、7年近く経過している。


――一体、どれほど夕飯を買い込んでいるのだろう。


 そう思いながら、日々、アルバイトで維持しながら生活している。寂しいとかそういった感情は生まれてこない。多分、それなりに美緒が俺の近くにいるからだと思う。


とにかく、そういったことがあったので、交換留学生になってしまった。
「普通に忘れてた」
「あんたって、本当にバカね」
「数ヶ月も前なのによく覚えていたな。あの珍獣は何も言ってなかったぞ」
「先生は忘れてたのよ。まあ無理もないけど。
…ところで朝ご飯出来たから、早くリビングに来てね」
「え」
「何よ。キッチン勝手に使ったわよ。悪い?」
「いや、それはいいんだが…」
「とにかく、早く着替えてリビングに来なさい。あんたのせいでクラスの代表になる留学生が遅刻なんか絶対許さないんだから」
 俺は考えた。彼女の料理を数ヶ月前食べた時は、とんでもない事になった。カレーライスの具がトマトとチョコレートとカレールーとそこらへんに生えている雑草とわかめとバナナとネギとエビとコーンとほうれん草と得体の知れない物が混じっており、ジャガイモさえも入ってない酷い出来だった。確か隠し味に、青汁を入れたという曖昧な記憶がある。むしろ、食えねーよ。
その場で考えながら、制服へ着替え始める。しかし、ここでゲームなんかだとひそかに料理の腕を上達させていて、そのフラグの発生条件をクリアしていて……

そこで気が付いた。
顔を真っ赤にしながら、美緒が俺の着替えているところを見ていることを。
「見るなよ」
「……みっみみみみみっ、見てないわよっ!!」
その瞬間、小走りで背の低い美緒が去っていった。

「……ま…まずい…本気でまずい……」
 …俺はドロドロになったカレーらしき個体を食べていた。最初は、気の効いた言葉を言おうと思ったが、あっさり正直な言葉が漏れた。
作った本人でさえ、
「うえぇ…」
と声を出している。本人曰く、朝からカレーをがんばって作ったらしい。
「あーあ。折角がんばって作ったんだけどなー」
カッチンコッチンになった固体をフォークで突き刺した。本来、カレーはフォークで食べるものだったか定かではない。少しフォローしてあげようと、俺は言った。
「俺は、朝食はいつも食べてないから大丈夫だけど」
「それはあんたがいつも学校行くのがぎりぎりだからでしょ。朝食は健康の元よ。それに今日は学校に行くんじゃなくて、留学先に行くんじゃない」

――そうだった。やばい。旅行の準備全くしてなかった。

 まずい。非常にまずい。朝食も不味いけど、そちらもまずい。今から部屋に戻って支度しないと…
「あ、朝食作ってくれた事は嬉しいよ。親が居なくなってから、ずっとコンビニ弁当とかカップラーメンだし、ちょっと嬉しかった。それに、食べられない訳じゃないしな。朝食は健康の元って言うしな…あはははははははは……」
「そう?」
「ああ…」
「でも、あたしはもう食べられない…」
固体カレーを突いていたフォークを机の上に置く。その表情は、あまりの不味さに後悔しているのか、暗い顔が浮かんでいた。元々小さかった背丈がうつむき加減でさらに小さく見えた。なんだかかわいそうに思えてくる。
しかし、俺はそれより何より今はとにかく支度をしないと…そうしないとまた、美緒に厳しく怒られる。どうせ、すぐに機嫌を直すに決まっているのだ。
「もうちょっと味わってじっくり食べるから、美緒はキッチンで皿を洗ったりゴミを出したりしててくれ」
「それはいいけど、大丈夫?おなか壊したりしない?」
上目遣いでつぶらな瞳を俺に向ける。
「平気平気!結構いける味だよな!固体のカレーライスって神秘的味で新鮮だし、たまにはいいもんだよな」
「無理に食べなくていいよ」
「いやいや、朝食はしっかり食べないとな。途中で倒れたら、元も子もないしな」
「そう……」
その瞬間、美緒は、暗かった顔がなぜか徐々に明るくなり、安堵した表情が広がった。
「広幸は、やさ……いね……」
「えっ?何か言った?」
「……なんでもないわよ」
「?」
「…べっ、別にあんたのために作ったんじゃないんだからね!あたしが朝食食べてなくて、余ったから、あんたにあげただけなんだからねっ!」
いつも思うんだけど、その照れ隠しみたいなよくわからないセリフやめて下さい。どう反応すればいいかわかりません。

露骨に嬉しそうに赤く上気したかわいい顔からは、彼女のチャームポイントの『笑顔』をより一層引き立て、皿を洗う為かゴミを出すべきなのかキッチンへ移動しようとした。明らかに上機嫌に戻った美緒は、これでもかとばかりのほほえみとちょっとした恥ずかしさの表情を浮かべ、そこで俺を振り返った。

「留学生として、成功すればいいね」
「ああ」

…何を?と、成功するか聞き返すまもなく、うなずく俺。
 軽やかなステップでキッチンへ向かう彼女は、何もこれからの留学生活に悩みなんか無さそうで、無邪気さを抑えきれない普通の少女に見えた。
そして俺は、固体カレーを放置し、留学生徒としての荷物準備をする為に、自分の部屋に急いで舞い戻った。

「本気でしんじらんない!」
家を飛び出して、開口一番にすぐに聞いた言葉はそれだった。何しろ、出発の準備をしていなかったので、荷造りをしていた所をドロップキック思いっきり後ろから蹴られた。あやうく、おしりが半分に割れてしまうところだった。あぶないあぶない。
「おかげで、電車の時間ぎりぎりじゃない」
「はぁはぁ…もう疲れた。もう辞退しよう」
「出来る訳ないじゃない。それに多分、みんなが駅で送迎する為に待っていると思うわよ」
「トランクで走るってほんと馬鹿すぎるだろ俺!」
「普通のバッグで十分だったのに。珍獣先生があっちで着る服も貸してくれるって言ってたじゃない」
そんなこと、俺が聞いているはずもない。今、俺に出来る事は、走る事ではなく、某アイドルのチケットを入手する事だけに決まっている。くそぉ。ハルカちゃん、待ってろよ!!!
「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」
「ちょっと!あんた早過ぎっ!」


駅のフォームでは、クラスメイトその他もろもろの歓迎を受けて、すがすがしい送迎になったかといえば、結論を言うと、そうならなかった。アイドルチケットは手に入らなかった。戻ってきた時に珍獣から手渡されるらしい。うぅ…。
落ち込んでいると、クラスメイト男子諸君から激励を受けた。
「がんばれ。チケットなんかどうでもいいから、男を磨いてこいよ」
「アレの卒業って辛いものだぞ。俺にはわかる」
「そうそう」
「『相場』は、慣れてるから解るだろ?」
「いや、むしろお前、まだ卒業してないだろ」
「…のんのん。実は、つい先日初めてだな…」
 会話の意味がわからない。…いや、あえて解ろうと拒否する俺の脳。きょとんとする美緒を見るとどうやら彼女は本当にわかっていないらしい。
 その中の男子の中に、比較的俺と仲の良い男がいた。名前は覚えていなかったが、先ほどの会話から『相場』という名前が出てきたので、思い出した。
「おい、相場。そこらへんでやめとけ」
「ああ。それはあんま興味ない。『あんま』興味がないだけで、ちょっとはあるってことだから勘違いするなよ」
「どうでもいい…」
むしろ、堂々と言わないで。

「ところで。お前、美緒とは付き合ってるの?」
「別に興味ない」
「へー、お前ら見てると付き合ってる気がするけど、そうでもないのか」
「ああ」
「お前、ちゃんと考えてやれよ」
「めんどくさい」
「肝心な時に手助けが無かった時って、悲しいと思わないか?」
それは、分かる気がするが……
「…うん」
「なんかさっきからつれない返事ばかりだな。俺はお前の為に言ってやってるのに。あのな、お前は男女性別気にしない性格かもしれないが、周りはビンビンに気にしてるっつうの。誰が誰を好きになるとか、誰を狙っているとか、ほら、あの名前忘れたけど、おっぱいが大きいあの子、結構いいぜ。あれは、Dカップはあるぞ。目の保養になる。前々からクラスの誰かが好きというウワサが流れていてだな、それから……」
なんだか聞いているうちに面倒になってきたので、あとは聞き流した。はっきり言って、あまり覚えていない。
 「まぁ、頑張ってこいよ。修学旅行の頃、また巡り逢おうぜ」
――コイツにはもう会いたくないと思った。

「あの……広幸くん」
面倒くさい男(名前忘れた)との会話を終えた後、俺と美緒の前にあおいちゃんが現れた。彼女は、クラスで比較的に目立たずおとなしい子なので、俺に自分から話しかけるのは非常に珍しい。
「おっ。どうした?」
そこでちらちらおどおど、俺の隣にいる美緒の方を目線で見る。ひっと声を上げそうなあおいちゃんだが、美緒のことを気にしないように言った。
「あっ…あのっ……!!」
声が裏返る。
「…あの……!!」
「な、何?」
「…………」
「広幸くん、あっちに行っても、元気で居てください!!!」
「…………」
なぜか、思いっきり叫ばれた。あまりの彼女らしくない大声に、周りは静まりかえった。クラス全員どころか、あの珍獣さえ静まり返っている。
「……うぁ……わっ、私、いっ、勢い余って、おてて繋い…じゃって…る…」
いつのまにか、手…というより、手首をきつく握り締められていた。正直、手首が赤くなって、痛いです。触れられた瞬間、母がまだ生きていた頃、買い物で一緒に手を繋いだ事をなぜか思い出した。
とにかく、我に返ったあおいちゃんは、その場から駆け足で去った。俺は状況が整理出来なかったのは言うまでも無い。どいつもこいつも、いきなり過ぎで困る。


何はともあれ、クラスメイトに見送られ、留学生として出発することになったのだが…


「おいおい、どうしたんだよ」
「知らないっ」
いつのまにか、美緒の機嫌が激しく悪くなった。
どうすればいいのかと思案したものの、よくわからなく、原因も不明。女の子の日なのかなと勝手に想像し、とりあえずあとで、彼女の好きなポッキーというお菓子でも買って、機嫌を治してやろうと思った。
俺の予想だと、すぐ機嫌を直してもらえると思う。

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Posted by iamweak - 2008年07月05日 02:00 | トラックバック (0)

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