「―当たり前のことが当たり前にできなくなったあの日。」-乱闘の末に-
この記事は、前回の続きです。
サイゼリヤに一番乗りしたY君とCさんは2人でせっせとグラタンを頼み、もぐもぐしていたところ、Cさんが不意にこんなことを言いました。
Cさん「もうA君あきらめたほうがいいのかなー。ずっと好きだったのになー」
体育祭で疲れていたからか、か細い声でそんなことを言いました。
Y君「え、なんで?」
Cさん「さっき冗談っぽく告白して振られたよ・・・」
Y君「ふーん。まぁ今日はおごってやるから食事しなさい」
Cさん「ありがと。でももっと一緒にA君といたいよぉー・・・どうすればいいと思う?」
Y君(疲れ気味)「だったら真剣に言えばいいやんっ。相談するのはいいけど、結果的にさらに迷うことだってあるんだからさ。」
Cさん「・・・そうだね・・・でもさ、もう嫌なんだよね。わたしはA君の幸せを一番に考えてるから、A君がMさんを本気で好きなら私の"好き"を殺してでも応援するし、それが一番幸せだと思ってるけど、A君からMさんとの仲を取り持つことを相談されたりするたびに、胸がちくってして嫌なんだよね。ちくってするほど胸ないけどさ...」※当時Bcup
Y君(アイスクリームをグラタンに乗せながら)「なんなら、『もう嫌です。あなたのことが好きなので相談にのることができません』っていうだけで終わらない?」
Cさん(アイスクリームに乗ったグラタンを気持ち悪そうに見ながら)「それができたら苦労しません。それでA君とも会話できなくなるの嫌だもん...」
Y君(アイスクリーム入りグラタンをもぐもぐ)「昔からこういうの結構見え隠れするけどさ、それは相手の幸せを考えてないよ。エゴですね」
Cさん「そか...そだよね...。でも、今の関係が壊れるの嫌だもん」
Y君「だから本人にちゃんと話してみなって。ここで燻っててもしょうがないじゃん」
Cさん「うん・・・。そもそもわたしが何が嫌かっていうとね。Mさんの態度なんだよ。」
Y君「どゆことー?」
Cさん「Mさんって何なのかなウザくてしょうがないんだけど!A君が一生懸命デートしてとか真剣に話してるのに何気なく話を交わしたり、確信を付かない言い方をしたりして残酷じゃない?」
Y君「そういったのにA君が悩んでるの?」
Cさん「本人はそう言わなかったけどあれは絶対に困ってる感じだったし、本当に私は助けたいと思ってるんだけど、A君から遊びだと思われてるんじゃないの?だからあいつ嫌。人の気持ちを考えない女だよ」
そこでCさんは何気なくサイゼリアボックス席の後ろを振り返ります。
Mさん「・・・・・・・・。(←後ろから聞いてた)」
Cさん「・・・・・・・・。(←聞かれているとは知らず真っ青)」
A君「・・・・。(←店員さんの案内を聞いている横で絶句)」
Dさん「・・・・。(←スケブラで目の保養)」
Y君「(アイスクリーム入りグラタンもぐもぐ)」
Mさん「なんでそういうこというの?」
Cさん「あんたはいいよね。いっつもさ何も考えてない振りしてすごしてさ」
Mさん「何?全然聞こえないんだけど?」
激おこぷんぷん丸発動。
Cさん「うざい・・・。」(小さな声でそう聞こえました)
ここで何を思ったのかMさんはCさんに思いっきりオレンジジュースが入った氷のコップを投げつけてコップが割れました。
ここですべてが終わりました。
Mさん「てめえええええええええええふざけんな!!そんなもん全部知ってるに決まってんだろ!けど、真剣だからこそ気がつかないふりをすることってたくさんあるんじゃないのかよ!!相手を傷つけないために嘘をつくんじゃなくて、知らない顔をすることだって正しい選択のときだってあるだろ!!!!」
MさんはCさんの髪をぐちゃぐちゃにひっぱりながら叫びます。
コップが割れたため、首らへんから血が出て、Y君は返り血を浴びました。
それからはここではご紹介できないほどの暴言と乱闘の嵐。
でも、Cさんはずっとなすがままに何もしませんでした。
必死に周りの人はもちろん止めましたが、灰皿を投げ、グラタンを投げられ、コップが割れたため破片だらけで危なく、大混乱でした。
しばらくするとMさんが言いました。
Mさん「・・・帰る。」
Mさんは帰ろうとして迷っていましたが、Cさんの一言によって帰るのをやめました。
Cさん「待って。これから先、もっと曖昧なまま過ごすことになるでしょ。もっと話そうよ。」
そういったCさんの言葉にMさんは無言で席に座り直しました。
Cさん自体もやられっぱなしだったのにそんなことを言ったことは、非常に感心します。通常怒った人は冷静になっていないために信頼する者以外の全ての人の声を遮断し、機会を断絶します。しかしCさんもMさんも話し合うことの大切さを理解していて今後どうしようかというか今帰ったら絶対後悔するとわかっていたからです。
ちなみに後から聞いたんですが、Cさんはその時も自身のことをメインに考えていた訳じゃなくて、やっぱりA君のことを考えて行動してそれが最善だと思う行動を取ったからこそ、待ってと声をかけたそうです。
このことはCさんはエニアグラムでいうタイプ2の「援助者」(支援者)であるからこそ、こういった時でも自身の気持ちではなく相手の気持ちを考えていたと推測できます。
Cさん「・・・気持ちに嘘をついたり表に出てない感情を殺すのは、それはあるべき姿じゃないよ...」
Mさん「・・・・・・。」
当たり前に過ごしていた青春は、
次の日から、A君、Mさん、Cさんの立ち位置が変わりました。