シミュレーションラブ

ニートはニートの悩みがあることを知らない一般人は、幸せだね。

「Pure Soul~想い出の雫~」12話

 11話を終えると、12話からプロローグは何処へ行っちゃったんだと言う位に一気に話が飛んで訳がわからなくなる。正直、読んでる自分もさっぱり訳がわからない。
 当時はハードボイルドなマスター(実在の人物がモデルだったっけ)にあこがれ、タバコはしないけど、コップだけをきゅっきゅっと拭く作業を好んでしていたこともあったりする。何かの練習のつもりだったらしい。
 実はそのコップは布巾で拭いているのではなく、雑巾だったというとんでもない落ちが付きましたけれども、憧れる人物像じゃないですか?・・・今ではそう思ってないんですけどね。

喫茶店マスターの想う気持ち
 「もう、あれから数年経つんだ。早いもんだな・・・。」
 すがすがしい朝を迎えて、太陽がぎらぎら輝く日中は夏真っ盛りということを強調していた。 暑さでエアコンが壊れ、家の扇風機もいい加減3時間程度だろうか?過労働をしすぎた時、 そんな中、駅前にあるちょっと洒落た喫茶店に入り一服中、俺は静かに声を上げた。 相手は喫茶店のマスターで、男らしいおじさん風のお兄さんだ。
 俺の言葉が聞こえなかったように、マスターは外の景色を見上げた。 喫茶店の中なので木の葉の揺れる音は聞こえてこないが、 近くのセミの音は耳を澄ますとかすかに聞こえた。 優しい日差しが店内に入ってきて、やっぱ夏だなぁと改めて思ったのか、 それとも俺のその言葉に反応したのかわからなかったが、とにかく微かに笑った。 もともとこの喫茶店はマスターが立てた喫茶店なので、客に文句を言われようが何しようが マスターの勝手である。だからなのか、客がいる前でタバコを吸ったり、 コーヒーやサンドイッチだけでなく、ビールや日本酒なんてのも置いてある。
「全ては俺次第」
 と、映画のようなセリフを言い出し、時には優しく声をかけてくれることもある。 マスターは口が堅いし、相談相手に誉れ高い。心理学士になればもっといいアドバイスなどが出来ると思うのだが、 喋る時の口調が変なので、店に来るお客さんはあまり喋りたがらない。 だが、俺は(後から来る連れも含めて)外見上や声などで判断するのは、嫌いだ。 よくよく話してみると、しゃべりやすいし、話していてもおもしろい。 見かけは十分謎なので、「飛行機のパイロットだった」と言えばすぐに信じられるし、 「フリーターなんだ」と言ってもおかしくは無い。 たしかに、ちょっと焦げたような感じの紳士服に真っ黒なズボンというのは見かけでしかない。 普段着は見たことはないが、パジャマ姿は以前見たことがあった。

 たっぷり5分は経っただろうか?マスターが俺を見つめた。
「俺とお前の付き合いだから言っておくが、あいつは来ると思うぞ。どんなことがあっても。」
 その瞬間、俺はさらに落ち込んだ。 既に落ち込むところまで落ちているが、マスターの勇気付けるような仕草が俺には我慢できなかった。 マスターって言う人物は、同情したくなる体質で、放っておけない体質だ。 だから、慰める為にここまで言ってくれるのは嬉しかったが、自分に対してはあまり慰めにはならなかった。
「そりゃあ、たしかにここに来たとするよ?それから俺はどうするの?」
明らかにマスターに八つ当たりのような感じで喋っているが、マスターはそんなことは気にしない。
「ただ、抱け。」
「数年前からずっと思ってたんだけどさ、その映画のようなセリフやめてほしいんだけど」
「ばか。映画って言うのは監督や脚本家の人たちの想いがたっぷりと詰まっているんだぞ? 世に出したいが為かお金の為かわからねぇ。ただ、製作している時の気持ちはその作品に詰まっていると俺は思うんだよ。」
「だからといって、俺の慰めになると思う?」
「思うぞ。人間の心理ってのは悪くない。だからといって、良いことも無い。普通だ。 だが、世の中の人間の心が普通、まぁ良い心と悪い心があるからこそ成り立っているんだぞ。 悪い心は置いておいて、良い心を持っている人間はなおさらだ。 今を大切に生きれば、未来に向かって歩いていけるんじゃないの?」
「・・・・・・・・・・・・。」
「お前に全てを解ってもらおうという気は無い。ただ、時は来た。 お前の為に店を閉めることを約束している。だから、あいつを待つ。お前も心を落ち着ける時間がほしいと思うからな。 だが、勘違いしないでくれ。お前がどっちに転ぶかは今の段階ではわからない。 全てに決着が来るのは、今日だからな。過去でも未来でもない。 未来をあいつと過ごしたいのならば、そして、結婚したくて大切にしたいのならば・・・ 何よりも大切にしたいのならば・・・。」
「・・・わかってるよ、マスター」
 マスターの熱弁を俺はさえぎった。既に心臓がバクバクしているので、それどころではなかったのだ。 それでもマスターの熱弁は止まらなかった。時が止まらないので、今、俺に自分の気持ちを言えば良いと思ってるんだろう。 たしかに、マスターにとってはこの機会を逃すとあまり喋れないことも解っていた。 何より、あの人が来るまで時間が無い。とにかくマスターは目にも止まらぬ勢いで喋りだした。
「いや、お前はいつもわかってない。いつもそばにいてもらおうっていう気持ちがありすぎなんだよ。 そりゃあ、小学校のころからいつもそばにいてくれなんて思う方が怖いが高校生になったら 普通、わかってやれたのが普通だろ?良い心だけを持つ人間はいないんだ。 だからこそ、お前自身の心の為にも、あいつ自身の心にも光が燈ってほしいなと思ってる。 お前が最初の頃、焼酎って言って無理な注文をしてきたのも叶えてやったのは、目を見て判断したんだ。 光があるのに輝いていない常態の目。まるで、らっきょにニスを塗った方が輝くと思った位だ。 でも、原石の石だろうが、らっきょだろうが、なんだろうが、磨けば綺麗になる。 知らんだろうがな、実際お前が店に来るまで焼酎なんてなかったんだぞ。 あの時出せたのは、そばのコンビニで買ってきただけだ。」
 マスターの熱弁は、かなり俺に応えた。 この人よりもいい人はおそらくこの世界にいないに違いない。
「だが、お前達の話はよく知らん。っていうより、今まで何も聞かなかった。 前にも言った通り、他人の事情に突っ込むのが好きじゃないからな。 でも、店を閉めるからには聞かせておくれ。お前達の過去に何があったのか。 心を落ち着かせるためにも俺にも話してごらん?何があったのか。 もう既にことは進んでいるのか知らんが、話すことでストレス発散すると思うぞ? 話したくないならそれでいいが」
「話したくないはずなんかありません。マスターのこと、信頼してますし、良い答えをいつも聞けますから。 これまでどれほど話したい気持ちがあったのに、本題については何も聞かれない。この気持ち解ります?」
「人の気持ちの中には突っ込まない。特にお前も同じ教訓を立てていたんじゃないのか?」
「それはそうですけど・・・。」
「いいから話してごらん。どうせ、話すのに時間がかかるだろうし。」
 マスターは、早速全ての客を追い散らし、店を閉め始めた。
「勘定はいらん、みんな今すぐ出て行ってくれ、皿ごと持って帰ってもいいぞ?」
 全員の客を追い散らし、いつもの『CLOSE』の木の札を下げてカーテンをつけた。 いつも思うのだが、この札は時代に合わず殺風景だ。
 全ての机の上やゴミ取りをして、色々な後片付けを始めた。 机の上を拭いている間、俺は心臓に車のエンジンを入れたような感じだったが、それがようやく治まってきた。 わざとそういう『何気ない時間』を作ってくれたらしい。そういう心遣いが俺には嬉しかった。 しばらくするとマスターは、コーヒーではなく熱いお茶を入れて、ようやくマスターは俺の隣に座った。
 マスターは何も言わずに、真剣な顔を俺に向け、俺を見つめる。 それが合図だと思い、俺は勝手に喋りだした。


「・・・昨日のことのように思い出すよ。あのことを。・・・」

13話へ続く。

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Posted by iamweak - 2009年04月26日 00:24 | トラックバック (0)

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